国土交通省の大臣・副大臣・政務官
第3次野田内閣のネット選挙力をリサーチする連載14回目、国土交通省の大臣達を紹介する。この省は、かつての運輸省・建設省、および国土庁・北海道開発庁を母体として設立され、海上保安庁や気象庁・官公庁・運輸安全員会を所管、所掌事務の範囲は非常に広い。
現職の国土交通大臣は、羽田雄一郎(はたゆういちろう)氏。さらに副大臣の長安豊(ながやすたかし)氏・伴野豊(ばんのゆたか)氏、政務官の川村秀三郎(かわむらひでさぶろう)氏・若井康彦(わかいやすひこ)氏・橋本清仁(はしもときよひと)氏のインターネットでの発信力をレポートしよう。
国土交通大臣 羽田雄一郎氏の公式サイト
まずは羽田雄一郎氏の基本情報から。羽田氏は1964年生まれで、民主党・参議院長野選出(3回)。父・羽田孜元首相の引退に伴い、後継として衆院選への立候補を検討していたが、先日不出馬を決めたことで話題となったばかりの人物だ。民主党が世襲を否定し、公認しなかったためである。
公式サイト(独自ドメインy-hata.jp)のトップページは、実にシンプル。コンテンツもプロフィールや政策の他は、「信州活動日誌(ブログ)」がある程度である。
しかし、このブログは今年の4月に開設したものの、最新記事は6月。更新がなくなって久しい。
国土交通副大臣 長安豊氏の公式サイト
次は長安豊氏をリサーチしよう。1968年生まれで、民主党・衆議院大阪19区選出(3回)。鳩山内閣では国土交通大臣政務官を務めた。
公式サイト(独自ドメインnagayasu.ne.jp)のトップページには、「私は変える 泉州そして日本」とある。また政策として、くらし・教育・外交の「3つのルネッサンス」を掲げている。
他にコンテンツとして、告知ページである「今後の活動」、広報紙などをアップした「活動の軌跡」の他、活動報告をするブログ(日記)形式の「長安通信」がある。
「通信」は週1回更新され、時事問題や政治課題などの考えをつづっており、読み応えのある内容となっている。最新の4記事は「総選挙の争点」「衆議院解散」「オバマ米大統領再選」「わが国経済の先行き」と題している。
国土交通副大臣 伴野豊氏の公式サイト
もう1人の副大臣・伴野豊氏をリサーチしよう。1961年生まれで、民主党・衆議院愛知8区選出(4回)である。JR東海(入社時は日本国有鉄道)勤務後、政治家に転身。外務副大臣や衆議院国土交通委員長を経て、現職。
公式サイト(独自ドメインban-chan.com)には、「知多半島から未来への責任を果たします」とあり、名前には、「朝でも、昼でも、ばんの豊」とある。ちなみに、政治家のキャッチフレーズには意外とダジャレが多いということを追記しておこう。
メニューは、活動の動画をアップした「ばんちゃんTV」、ブログ(日記)形式の「ばんちゃん活動記」、課題をまとめた「新 ばんちゃん八策」、メールマガジンのバックナンバーを掲載した「ばんちゃんドットコム」がある。
「活動記」は連日のように更新され、11月だけでも既に37記事。写真に簡単なコメントが付けられており、ツイッターのような感覚で見ることができる。一方、メールマガジンは時事ニュースや政治的課題などの報告や意見などをまとめたもので、月1〜2回程度の配信。
ブログとメールマガジンの使い分けが明確で、さらに動画も用意しており、充実したコンテンツとなっている。
国土交通大臣政務官 川村秀三郎氏の公式サイトとブログ
次は政務官の川村秀三郎氏。1949年生まれで、民主党・衆議院宮崎1区選出(1回)である。農林省(現 農林水産省)に入省し、林野庁長官も経験した。初当選は2009年。
公式サイト(独自ドメインkawamura-hide36.net)は、黄色をバックに、緑で大きく名前と川村氏のイラストと、インパクトがある。トップページは「後援会からのお知らせ」と「公式ブログの新着情報」が掲載されており、発信の中心はブログのようだ。
また、サイトのメニューには「意外と民主党?」というものがあり、これが必見だ。「意外とやってます民主党」として、Q&A方式で、疑問に答えている。質問には、「政権交代は期待はずれ?」や「民主党はうそつき?」「マニフェストを完全に実行できないのはなぜ…」などが並んでいる。
ブログの「秀三郎の日々」は、活動報告と雑感が、写真にコメントを添える形で、ほぼ毎日更新されている。文章のない記事も多く、写真日記のイメージである。
さらに、サイトには「秀さんメルマガ始めます!!」と告知しているが、バックナンバーなどの掲載がないため、現時点で配信が始まっているのか、またその内容に関しても不明。
国土交通大臣政務官 若井康彦氏の公式サイト
2人目の政務官は、若井康彦氏。1946年生まれで、民主党・衆議院千葉13区選出(2回)である。新宿新都心計画・那覇新都市計画などにおいて「都市計画プランナー」として活動した後、政治家に転身した。
公式サイト(独自ドメインwakai-yasuhiko.jp)には、「時代は大きな曲がり角。正しく舵取りをするために、若井やすひこは全力を尽くします」とある。
コンテンツは、「連載 駅からまちが見える」、「著作 研究」などがあるが、現在更新されているのは「活動報告(ブログ)」だけのようだ。
ブログは、「お知らせ」「活動報告」「言う!」などのカテゴリーが設定されており、「言う!」の最新記事は、サイトのトップページにも掲載。現在は、「改めて、心血を注ぐ」と題した解散や現政権の総括などが書かれている。
しかし、「言う!」は月1回程度であり、ブログの記事の大半は「活動報告」だ。こちらはスケジュールの一覧が記載されている事務的なものだ。
国土交通大臣政務官 橋本清仁氏の公式サイトとブログ
最後は、橋本清仁氏。1971年生まれで、民主党・衆議院宮城3区選出(2回)である。国土交通大臣政務官と、復興大臣政務官を兼任している。
公式サイト(ドメインkiyohito.p2.bindsite.jp)は、「復興への取り組みホームページ」として今年5月に開設したもの。ネットでの発信のメインは、これまでブログを中心に行っていた。
サイトの方は、開設主旨の通り、東日本大震災対応の記事がアップされている。ただし各記事に日付が記載されていないので、どの程度対応が進んでいるのかが判断しづらいのが残念だ。
ブログの方は、月1回程度の更新で活動報告中心の内容だ。また、ツイッターも活用しているが、こちらも11月はツイート2回、10月1回、9月がなしで、8月が2回であり、そのほとんどがブログの更新情報と淋しい状態だ。
調査総論
それでは、国土交通省トップの6名のネット発信力を総括してみよう。
順位をつけると、記事の内容と更新度から考えて伴野氏を1番とする。サイトのコンテンツは最も充実しており、気軽に読め、毎日のように更新している活動記と、読み応えのあるメールマガジンの2種類での発信は評価できるだろう。
次は、長安氏。週刊になっている「長安通信」は、しっかりとした意思表示をしていて読みやすく、好感の持てる文章だ。
川村氏のサイトは、「意外と民主党?」をお勧めしたいので、3番手に挙げることにした。自虐的なタイトルとなっているが、その解答に納得・共感するか、有権者の1人として目を通しておきたい。
橋本氏は4番手としてしまったが、震災復興に特化したサイトを立ち上げ、活動を紹介していることに、日本人としては応援したい気持ちだ。惜しむらくは、前述の通りで、活動内容に日付の記載がないこと。復興がいつ、どのように進んでいるかを知るためには、日付は必須ではないだろうか。
若井氏のサイトは5番とした。活動報告の更新は多いが、極めて事務的なものであり、一般的に興味の持てるものではない。むしろ、サイトのコンテンツにある「連載 駅からまちが見える」は、都市計画を専門とした若井氏らしい記事であり、地方行政の視点からも再開してもらいたい内容である。
最後は、残念ながら羽田大臣となった。理由は、見るべきコンテンツが少ないこと。ブログや政策、活動報告など、さらなる充実に期待する。
今回の6氏は、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアの活用はあまりなかったため、広い発信力という点では疑問が残るものの、内容は読み応えの多いものが多く、ぜひ多くの人に訪問してもらいたい。
野田内閣を紹介する本連載は残る2回の予定。選挙に向けての総括の意味もあり、残る環境省・防衛省は次週とりあげる。
(ライター 大久保ゆか)

羽田雄一郎 公認サイト
http://www.y-hata.jp/長安たかし ウェブサイト
http://www.nagayasu.ne.jp/ばんの豊ホームページ
http://www.ban-chan.com/かわむら秀三郎 公式ホームページ
http://www.kawamura-hide36.net/秀三郎の日々(ブログ)
http://www.kawamura-hide36.net/cgi-bin/hide36blog/diary.cgi若井やすひこ 公式ウェブサイト
http://www.wakai-yasuhiko.jp/橋本きよひと(公式サイト)
http://kiyohito.p2.bindsite.jp/橋本ブログ
http://d.hatena.ne.jp/dekakiyo/橋本きよひと ツイッター
https://twitter.com/hkiyohito