「当確報道」は「表現の自由」?
総務省は、2013年7月4日、同日に公示された、第23回参議院議員通常選挙に係る当選確実の放送等に関し、放送事業者等に対して要請を行っています。
要請は、日本放送協会や一般社団法人日本民間放送連盟、一般社団法人衛星放送協会、一般社団法人日本ケーブル放送連盟など、民間基幹放送事業者、衛星一般放送事業者及び自主放送を行う有線登録一般放送事業者を対象に、情報流通行政局長名の同日付け文書で行われました。
今回の要請は、“当選確実の放送等については、関係者に多大な影響を及ぼすことから、放送法の趣旨にのっとり、放送に対する国民の信頼にこたえるよう、十分な配意をお願い”するというものです。この内容は、2009年に行われた衆議院議員選挙の際に発せられたものとほぼ同一の内容です。
それ以前にも行われていた要請では、「結果の誤りが」、「慎重に」といった文言が含まれていて、誤報について言及されていましたが、最近は、幾分穏当なものとなっており、要請というよりも、確認程度なのかもしれません。
結果に急ぎ過ぎなのは「誰」なのか
こういった行政のアクションに対して、“行政が報道機関の「表現の自由」に介入している”との意見もあるようですが、ただ、今回の対象である当確報道以外にも、投票日まで頻繁に行われるようになった「情勢調査」と題した世論調査には、有権者の投票行動に余計なバイアスをかける恐れはないのでしょうか。
また、期日前投票は、投票日の投票に困難なケースでの救済措置ですが、候補者の主張を十分に吟味するだけの「時間」が少なくなってしまう恐れもあります。さらに、各地で相次ぐ投票時間の繰り上げは、文字通り、有権者の投票の「間口」を狭めているかのようです。
そういった各方面での動きは、何か選挙が「予定調和」のイベントになったかと錯覚しそうですが、“あなたの一票が社会を変える”といったフレーズが有形無実にみえるほど、予想や予測が正確になるのだったら、その技術を地震などの災害にも、ぜひ活用してもらいたいものです。
総務省 プレスリリース
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