暴対法改正案に対する有識者の審議結果の取りまとめ
警察庁は1月5日、「暴力団対策に関する有識者会議報告書」をサイトにアップした。法曹界、言論界など有識者合計13名が、暴力団対策法改正骨子案について、暴力団情勢及びこれを踏まえ、諸論点について検討、審議を重ねその結果を取りまとめたもの。
改正骨子案は、「市民に対する危害を防止するための規制の強化」「指定暴力団員の不当要求に対する規制の強化及びその防止措置の導入」「適格団体による事務所使用差止請求制度の導入」「罰則の強化」から成り、会議においては、骨子案の基本的方向性に賛成する意見が多数示される一方、改正に当たり、立法事実を説明する必要があるとの意見や、現行法で対応できない事項の検証と改正による効果をしっかりと説明すべきである旨の意見もあったとしている。
*表は「暴力団対策に関する有識者会議報告書」資料より
暴力団構成員の推移(昭和38年~平成22年)
「危険指定暴力団」の指定と暴力要求行為への直罰化
改正骨子案の「市民に対する危害を防止するための規制の強化」では、暴力団からのみかじめ料要求を拒絶した者に対する暴力行為(拳銃の発砲、手りゅう弾の投てき、放火等)が相次いだことを踏まえ、現行法での「中止・再発防止命令の発出」では不十分とし、生命又は身体に重大な危害を加える方法で暴力行為を行う「危険指定暴力団」との指定を受けた指定暴力団については、命令の発出を待たずにこれを直ちに処罰できるようにした。
また、「適格団体による事務所使用差止請求制度の導入」では、現行法では、暴力団事務所の周辺住民等に代わって一定の能力がある第三者が先導役となる当事者に就く手続は認められていないため、暴力団側の妨害行為等を恐れて請求が躊躇されるという問題があることを踏まえ、国家公安委員会が都道府県暴力追放運動推進センターを適格団体として指定、住民からの委託を受け、センターが暴力団事務所の管理者である組長等に対して当該事務所の使用差止めを請求できるとしている。
警察庁 「暴力団対策に関する有識者会議報告書」
http://www.npa.go.jp/sosikihanzai/kikakubunseki/bunseki/20120105_houkokusyo.pdf