イスラム圏の各地でデモ勃発
今月11日、リビア東部ベンガジの米領事館が武装集団に襲撃され、駐リビア米大使と大使館職員3人が殺害される事件が起きた。
17日、アフガニスタンの首都カブールで1000人をこえるデモがあり、「米国に死を」と叫びながら警察車両に放火した。
これらの引き金となったのは、イスラム教の預言者ムハンマドを揶揄(やゆ)する内容のアメリカ映画
『イノセンス・オブ・ムスリムズ(無邪気なイスラム教徒)』である。
イスラム圏の各地で映画に抗議するデモが勃発しており、怒りの炎はチュニジアやモロッコ、スーダンなどに次々に飛び火している。これまでの所、少なくとも17人が殺害された。
スーダンの首都ハルツームで14日、米国と英国、ドイツの大使館が襲撃され、放火された。
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by David Holt London宗教侮辱罪で上映を禁止できるか?
しかし、ドイツの政治家の間で、この問題の映画を公開すべきかどうか意見が対立している。右翼ポピュリストのグループ「プロ・ドイツ(Pro Deutschland)」は、ベルリンでこの映画を上映することを発表した。
ハンス=ペーター・フリードリッヒ内相(CSU)は、上映禁止を要求。上映禁止に対し、野党の政治家が拒否した。社会民主党(SPD)と緑の党(Die Grüne)の政治家は、
「上映禁止は、最後の手段である。また、それだけでは外交政策上の配慮が十分でない。」
と語った。
ドイツ国内には、過激派イスラム主義者がおり、小さな火花が異なる場所で同時に爆発を起こす可能性もある。しかし、上映は犯罪にあたらないため、上映禁止の履行には無理がある。
そこで、キリスト教民主同盟(CDU)の外交政策専門家のループレヒト・ポレンツ氏は、宗教侮辱罪が適応できるかどうかを検討することを提案した。

ツァイト誌(Zeit Online)
http://www.zeit.de/politik/deutschland/