北大西洋条約機構(NATO)の共同声明
ドイツ連立政権の
「ドイツから米国の核兵器の撤収」という主要な外交政策の目標の一つが挫折した。ツァイト誌オンライン版が5日、報じた。
5月に行われた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議において、アンゲラ・メルケル首相とギド・ヴェスターヴェレ外相は、北大西洋条約機構(NATO)が戦略核兵器を維持し、順守することに同意する共同声明を発表。
この声明により、ドイツから核兵器を撤収させることが難しくなった。
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by gvgoebelまた、ドイツ連邦軍は、2024年までに戦闘時に原子力爆弾を投下するトーネード戦闘機を戦闘可能な態勢に保つために約2億5000万ユーロ(約247億4000万円)を出費する予定である。その上、近代化のために約40億ドル(約3130億円)を必要としている。
ドイツには10から20発の核爆弾が配置
北大西洋条約機構(NATO)にとって
「同盟国側の核兵器の配置は、効果的な抑止と防衛の役割を果たしている」というのである。
米国がヨーロッパに配置している核兵器は、推定で180から200といわれている。そのうち、ラインラント=プファルツ州アイフェルのビュッヒェル空軍基地に、B61型の核爆弾が10から20発あるという。1発の核爆弾は最大170キロトンの威力を持ち、ヒロシマ原爆の13倍にあたる。
ドイツ連邦議会で「撤収」を要求
ヴェスターヴェレ外相は、ドイツから米核兵器の撤収のために精力的に力を尽くしてきた。また、外相の主導で、2010年3月、ドイツ連邦議会において、「米国の核兵器の撤収」に関して、圧倒的多数で支持された。
野党の社会民主党(SPD)は、秋の連邦議会でこのテーマを提起することを検討している。また、ドイツや欧州から米国の核兵器を撤収させるための計画や手順についての回答を要求するという。

ツァイト誌(Zeit Online)
http://www.zeit.de/politik/deutschland/2012-09/