欧州委員会のストレステスト最終報告
ヨーロッパ内の原子力発電所の安全を確認するために欧州連合(EU)の行政機関である欧州委員会は原発の耐性評価(ストレステスト) の最終報告書案をまとめた。
欧州委員会のギュンター・エッティンガー委員は、4日、ストレステストの結果を報告。欧州連合(EU)内14か国にある原子炉145基ほぼすべてに改善の必要がみつかったが、稼働中の134基の即時閉鎖は必要ないとしている。
ドイツメディアによると、福島第1原発並みの事故に対応できるようにするための改善費用には、100億ユーロから250億ユーロ(約1兆円から2兆5000億円)かかるという。
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by springfeldドイツ
ドイツ国内では、12か所にある稼働中の原子炉9基を含めた原子炉17基がテストされた。その中で、5か所で地震に対する保護が不十分とされ、原子炉2基が地震波に対し、国際標準値に準拠した工法で建設されていないとされた。
また、3つの原発で地震警報システムが欠如。すべてのドイツの原発において、重大災害時の管理ガイドラインの欠如が指摘された。
フランスとその他の国
フランスにおいては、58基の原子炉があるが、多数の欠陥が見つかった。まず、立地場所や事故設備の備蓄、洪水・地震対策が不十分で、58基すべてを改善する必要性があると判断された。
改善が必要な原子炉の40%がフランス国内のだった。
英国の原発では、緊急指令室が放射性物質で汚染された場合の代替施設が欠如し、フィンランドとスウェーデンでは電源や冷却装置が停止しても、安全システムを1時間以内に稼働できない問題が見つかった。
憤慨するフランスの原子力安全局
ドイツのペーター・アルトマイヤー連邦環境相は、このストレステストの結果から、今後の方針についての結論を出すことを約束。
フランスの原子力安全局(ASN)は、ストレステストの結果を不服として訴えた。このテストは、ASNとの間で調整されていなかったというのだ。
ドイツのエッティンガー委員は、18、19日に行われるEU首脳会議において、原発の安全性の改善を実施するための権限を取得するためにストレステストの最終報告を提出する予定である。
フランスと英国の激しい抵抗にあうのは必至である。

RP-Online
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