虐待映像により広がる反発
10月1日に議会選挙が行われるグルジアは、緊張した雰囲気に包まれている。先週、刑務所の看守が受刑者に暴行を加える映像がテレビで放映され、首都トビリシ(Tbilisi)で抗議デモが行われ、国民の間に激しい反発が広がっているからである。
野党系テレビ局TV9が18日夜に放映したトビリシの刑務所の映像には、看守が受刑者を容赦なく蹴りつけたり、看守に棒で性的虐待を加えられたとみられる様子が映っていた。
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Mikheil Saakashvili/by Chatham House, Londonビデオは仕組まれたもの?
ミヘイル・サーカシビリ(Mikheil Saakashvili)大統領は、野党勢力を率いる大富豪のビジナ・イバニシュビリ(Bidzina Ivanishvili)氏を非難。大統領によると、このビデオは仕組まれたもので、イバニシュビリ氏によって買収されたものだというのだ。
内務省は、24日、ひそかに録画したビデオを公開した。その中で、一人の男が警察官に、逮捕者を虐待しているところをビデオに撮らせれば、2万5000ユーロ(約250万円)を渡すと言っているのである。もし、虐待がなければ、活動家がその役を買って出ると言っている。
内務省に提出された他のビデオには、同じ人物が他の公務員に賄賂を申し出ている場面もあるという。
内務省は、この警察官と3人の賄賂提供者を逮捕し、2万5000ユーロは押収、捜査を開始した。ヴェルト紙オンライン版が26日、報じた。
議会選の行方
この事件で、政府側はイバニシュビリ氏率いる野党連合「グルジアの夢」が、反政府運動を組織したことを証明したいもよう。
しかし、拷問スキャンダルはサーカシビリ大統領にとって、大きな痛手となった。この事件を受けて数日前、内相と刑務所の所管大臣が辞任した。
前回2008年5月に行われた議会選挙では、与党統一国民運動が150議席中119議席を獲得した。今回は、イバニシュビリ氏の「グルジアの夢」と他の野党が手を組み、与党の苦戦が予想される。

ヴェルト紙(Welt Online)
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