総務省の大臣・副大臣・政務官
第3次野田内閣のネット選挙力をリサーチする連載6回目は、総務省の大臣たちに注目する。
その前に総務省を確認しておこう。2001年の中央省庁再編で、総務庁・郵政省・自治省を統合して創設された所管の広い省だ。閣僚名簿でも総理・副総理に次いで列せられ、各省の筆頭のポジションである。
今回は総務大臣である樽床伸二(たるとこしんじ)氏と、副大臣の大島敦(おおしまあつし)・藤末健三(ふじすえけんぞう)の両氏、政務官の石津政雄(いしづまさお)・稲見哲男(いなみてつお)・森田高(もりたたかし)の3氏のインターネットでの発信力をレポートする。
総務大臣 樽床伸二氏の公式サイト
まずは樽床伸二氏の基本情報から。樽床氏は1959年生まれで、民主党・参議院大阪12区選出(5回)、国会対策委員長や民主党幹事長代行を歴任し、現在は総務大臣復興大臣および内閣府特命担当大臣(沖縄および北方対策・地域主権促進)、地域活性化担当大臣である。
公式サイト(独自ドメインtarutoko.jp)には、「ひとりの人間として未来のために日本のことを思う」とし、氏の政治姿勢のメッセージが書かれている。
トップページは、更新履歴や各メニューの最新記事のサムネールが表示されている。整然としたレイアウトであり、サイトの内容が一目瞭然だ。また、各コンテンツが他のウェブサービスなどを使用しておらず、同サイト内に集約している。
主なコンテンツは、「私の主張」「樽床レポート」「樽床チャンネル」。さらに「樽床archive」も用意されているが、こちらは現在製作中とのことだ。
「私の主張」は、2003年に樽床氏が出版した『わが師、松下幸之助』を、2011年6月より週1回ペースで連載形式にしてアップ、現在まで70回まで進んでいる。また「樽床チャンネル」は、国会や演説などの動画であるが、1年以上更新がとまっているようだ。
「樽床レポート」は、いわゆるブログ(日記)のイメージだ。写真にコメントをつけた活動報告である。しかし、その形になったのは今年の9月から。それ以前の4ヶ月以上は更新を停止、昨年の9月から4月までは幹事長代行定例記者会見の原稿がアップされていた。さらにその前は今と同様のブログであり、今後も内容の変更があるかもしれない。
総務副大臣 大島敦氏のサイト
次は大島敦氏をリサーチしよう。1956年生まれで、民主党・衆議院埼玉6区選出(4回)、総務副大臣および内閣府副大臣である。サイト(ドメインsakitama.or.jp)は、サイトマップの文字のみであり、見た目で判断すると公式サイトとして作成しているかどうかも判断に悩む。
主なコンテンツは、「人物紹介」「国会レポート」「議事録」「提出法案」などが用意されているが、2年以上更新されている形跡がなく、本稿においてはリサーチ外とせざるを得ない。
総務副大臣 藤末健三氏の公式サイトとソーシャルメディア
3人目は、藤末健三氏。1964年生まれで、民主党・参議院比例選出(2回)、総務副大臣である。公式サイト(独自ドメインfujisue.net)には、「日本の笑顔をつくりたい!」とあり、さらに2012年の目標も掲げている。
藤末氏のネット活用は、多彩だ。サイトを見れば一目瞭然であるが、インターネットというメディアを理解し、利用しようとする意識が感じる作りである。
トップページは、メニューバーや各種のバナー、ツイッターのブログパーツが貼られ、本文には最新ニュース・更新情報一覧の他、各ジャンル別のタブでも確認できるようになっている。藤末氏は様々なネットサービスを利用しているが、このサイトトップページに整理されていてわかりやすい。
サイトの主なコンテンツは、「ブログ」「理念と政策」「国会議事録」など。ブログは週2〜4回更新しており、そのうち自身がカテゴリーを政治にしている記事に関しては、「理念と政策」にも表示されている。その他のカテゴリーは、ただブログとしているもの、読書録やスポーツなども。内容も活動報告や感想などにとどめており、気軽に読めるテイストである。
ブログはサイト内のページに作られているが、他にさまざまなソーシャルメディアを利用している。ツイッター、フェイスブック、グリー、ミクシーに公式アカウントを持っており、メールマガジンも発行している。
特にツイッターは1日に複数回つぶやいており、藤末氏の動きがかなり詳細に追うことができる。フォロワーも4万8千人を超えており、発信効果も十分に期待できる。
総務大臣政務官 石津政雄氏の公式サイト
4人目は、石津政雄氏。1947年生まれで、民主党・衆議院茨城2区選出(1回)、総務大臣政務官である。公式サイト(独自ドメインishidu-masao.jp)には、「いっしょにやっぺよ」とある。
主なコンテンツは、「政治理念」「活動記録」「トピックス」など。そのうち定期的な更新が見られるのは「活動記録」と「トピックス」である。しかし、この2つの区分が判然としない。
「活動記録」は、ページ内では活動報告となっており、写真にコメントを加えたブログ(日記)の形式で月に4〜5回の更新。一方の「トピックス」は、月1回程度で、やはり写真をつけたお知らせである。しかしほとんどが「詳しくは活動記録をご覧ください」となっており、内容が重複しているのである。
総務大臣政務官 稲見哲男氏の公式サイト
5人目は、稲見哲男氏。1948年生まれで、民主党・衆議院大阪5区選出(2回)、総務大臣政務官および内閣府大臣政務官である。公式サイト(独自ドメインinami-t.jp)は、メニューと各コンテンツの最新記事、週間予定が掲載されており、事務的な印象だ。
コンテンツの中心は、「活動記録」と「写真集」だろう。他に「会議録」や「行事記録」などもあるが、1年以上更新が止まっており、「ひとことログ」は2008年以前の過去ログである。また、「TV-いなみ」は衆議院TVをまとめたものだ。
「活動記録」はほぼ毎日更新されている。文章中心であり、視察や会議の内容など、稲見氏のその日の動きが、淡々とつづられている。一方「写真集」は、3ヶ月ごとなど、ある程度まとめて、ウェブアルバムにアップしている。しかし写真のみなので、関係者以外はあまり興味が持てないかもしれない。
総務大臣政務官 森田高氏の公式サイト
最後は、森田高氏である。1948年生まれで、国民新党・参議院富山選出(1回)、総務大臣政務官である。公式サイト(独自ドメインmoritatakashi.jp)には、「日本の医療・介護制度再生への挑戦!」とある。
主なコンテンツは、「理念と政策」「活動報告」そして、「ブログ」のバナーが貼られている。そのうち「理念と政策」は、国民新党の発行したものであり、森田氏個人の提言は、トップページのメッセージや「ごあいさつ」のコメントのみである。
「活動報告」は、新聞などのメディア掲載の画像や、出席した会議の写真などであり、比較的こまめにアップはされているものの、森田氏の直接の言葉で書かれたものではない。また「ブログ」は半年近く更新が止まっている。
ブログに関しては、月1回程度だが、森田氏の意見を明確に提示しており、サイト訪問者がコメントを書き込んでいた。しっかりと読ませる内容であり、今後の再開に期待したい。
調査総論
それでは、今回の総務省トップの6名のネット発信力を比較してみよう。もっともネットでの発信に関して力をいれていると思われるのは、藤末氏である。さまざまなネットサービスを活用し、多方面で発信する意識が見られる。
次は稲見氏だろう。活動報告はほぼ毎日であり、肩の凝らない内容ながら、投票行動をする上での参考となるはずだ。また、稲見氏ほど頻度は高くないが、樽床氏と石津氏も比較的こまめに活動報告をアップさせていて、一定の評価ができる。
森田氏に関しては、しっかりしたコンテンツがあるものの、更新が滞りがちであり、現時点では評価がしづらい。また、大島氏に関しても同様である。
最後に個人的な印象であるが、今回の6氏のサイトはどれも、残念ながら、また再訪したいと思わせる記事があまりなかった。強いて言えば、藤末氏のツイッターやブログに、読書記録を載せており、興味が湧いた程度だ。
政治家のサイトやブログに訪問する人の多くが期待するものは、活動報告にしても、ただ「どこに行った、誰と会った…」でなく、そこから時事性のある意見やコメントなどであろう。力あるサイト運営には、まずは更新することが前提であるが、その上で、内容もプラスアルファが重要であると改めて感じた。
(ライター 大久保ゆか)
たるとこ伸二 オフィシャルサイト
http://www.tarutoko.jp/大島あつし(ウェブサイト)
http://www.sakitama.or.jp/oshima/ふじすえ健三(公式サイト)
http://www.fujisue.net/藤末健三 ツイッター
https://twitter.com/fujisueいしづ政雄オフィシャルサイト
http://www.ishidu-masao.jp/いなみ哲男のホームページ
http://www.inami-t.jp/森田高 公式サイト
http://www.moritatakashi.jp/