財務省の大臣・副大臣・政務官
第3次野田内閣のネット選挙力をリサーチする連載9回目は、財務省である。念のため確認すると財務省とは、2001年の中央省庁再編で、大蔵省を廃止して設立した省だ。
2009年の民主党政権からは、藤井裕久氏、菅直人氏、野田佳彦氏、安住淳氏、そして現職の城島光力氏と5人目。経済不況が長引く中、この3年間の移り変わりに不安を抱かずにはいられないが、とにかく、新しい大臣と副大臣・政務官をチェックしてみよう。
では、財務大臣の城島光力(じょうじまこうりき)氏と、副大臣の武正公一(たけまさこういち)氏・大久保勉(おおくぼつとむ)氏、政務官の網屋信介(あみやしんすけ)氏・柚木道義(ゆずきみちよし)氏のインターネットでの発信力をレポートする。
財務大臣 城島光力氏の公式サイトとブログ
まずは城島光力氏の基本情報から。城島氏は1947年生まれで、民主党・衆議院神奈川10区選出(4回)、民主党国会対策委員長を経て、今回が初入閣。
公式サイト(独自ドメインjojima.net)には、「百術は一誠に如かず」と手書きの書。この「百術不如一誠」、つまり「百の策略も一つの誠意には及ばない」は、政財界の著名人が座右の銘としてあげている言葉として知られている。
サイトのコンテンツは基本情報やお知らせ程度、あとはブログへとジャンプされる。ブログは月2〜3回の更新、内容は文章が中心で、活動報告や感想、提言などテーマはいろいろである。
財務副大臣 武正公一氏の公式サイトとブログ
次は武正公一氏をリサーチしよう。1961年生まれで、民主党・衆議院埼玉1区選出(4回)、財務副大臣である。
公式サイト(ドメインtakemasa-k.jp)のトップページは、メニューや様々なバナーの他、更新情報などを写真なども多用してカラフルで見やすい。コンテンツも細かくカテゴライズされており、豊富な内容となっている。
サイトのメインは「活動報告」であろう。そのうち、「議員立法」「民主党ニュース」「国会レポート」などは、広報の印刷物や提出文書などの全文の閲覧。さらに「国政での活動」として、写真にコメントをつけた一覧のページがある。これらの項目の中には、ビデオライブラリやブログでの詳細記事にジャンプするものもあり、丁寧なつくりだ。
武正氏は、ブログやツイッター、フェイスブックなど、ソーシャルメディアも多用している。ブログはブログサービス大手のアメーバのサービスを利用しており、ほぼ毎日更新。写真などを加えながら、活動の報告を中心に事務的な文章だ。また一部の写真は、写真共有サイト「フリッカー」でも公開。
さらにフェイスブック。ブログと記事が重複しているケースも見られるが、写真などリアルタイムでアップしたりと、こちらの方がよりリアルタイムな印象がある。一方のツイッターは、事務所が管理するアカウントで告知や更新情報のみであり、自身の言葉による発信ではないため、今回のリサーチからは除外とする。
財務副大臣 大久保勉氏の公式サイトとブログ
3人目は大久保勉氏をリサーチしよう。1961年生まれで、民主党・参議院福岡選出(2回)、財務副大臣である。
サイト(独自ドメインwww.t-okubo.jp)は、基本情報と、活動報告としての一覧表がある程度で、ウェブ上の人物紹介といった印象なので、再訪を期待するようなコンテンツはない。
大久保氏に関しては、「公式ウェブサイト」と名づけているブログがあり、こちらがメインと考えて良いだろう。ウェブサービス大手のgooを利用している。更新は週2〜3回程度。活動報告や意見などを、写真などを交えて発信している。
また、ツイッターも利用しているようだが、プロフィール画像は「たまご」のままで、自己紹介文も未記載、フォロワー14名、フォロー5名と、ブログからジャンプしたので「なりすまし」ではないと認識できるが、ツイッター自体はツイートの内容以前の問題を感じる。
財務大臣政務官 網屋信介氏の公式サイトとブログ
4人目は、網屋信介氏。1957年生まれで、民主党・衆議院比例区九州ブロック選出(1回)、財務大臣政務官である。公式サイト(独自ドメインs-amiya.jp)は、レストランに訪問したかのような設定にしており、トップページもレストランのメニューブックをデザイン。
このレストラン(サイト)のメニューは、Antipast(アンティパスト;前菜)に、東京鹿児島の「活動報告」、ブログの「あみしんダイアリー」と、「あみしん写真館」。Primo Piatto(プリモ・ピアット;一皿目)に、「プロフィール」「政策」「メディア掲載」、「Secondo Piatto(セコンド・ピアット;2皿目)に「事務所のご案内」や「事務所通信」など。そしてDolce(ドルチェ;デザート)がリンク。イタリアンらしい。
コンテンツの中心は、“前菜”と区分している「活動報告」や「ダイアリー」「写真館」だろう。すべてサイト内に収めており、他サービスのページなどにジャンプすることはない。
「活動報告」は会議や委員会の出席、イベントの参加やメディア出演など、事務的な一覧表。デザインはブック形式で、スケジュール帳のようなイメージだ。
「ダイアリー」は、月2〜3回程度の更新。時事ニュースや諸問題などの感想や意見などを、肩の凝らないような口調で文章にまとめていて読みやすい。また「写真館」はまさにアルバムのイメージで、毎日のようにアップされている。
財務大臣政務官 柚木道義氏の公式サイトとブログ
最後は、柚木道義氏。1972年生まれで、民主党・衆議院岡山4区選出(2回)、財務大臣政務官である。公式サイト(独自ドメインyuzu.jp)には、“ゆず”のマークがあちらこちらに配されている。
サイトのコンテンツは、基本情報の他、「ゆずメディア」なども用意されているが、トップページのお知らせの他は、見るところが少ない。また、トップページの「New!」の一覧には、委員会の答弁などの報告もあるが、これらの動画関係のリンクをクリックすると、いきなりダウンロードされてしまうので、要注意だ。
柚木氏は複数のブログやツイッター、フェイスブックなども利用している。ブログ「ゆず日記」はウェブサービス大手のライブドアのサービスを利用しており、月2〜3回程度更新。内容は意見や報告などの文章が中心だ。
リアルタイムの活動報告という点では、ツイッターを見るべきのようだ。ほぼ毎日ツイートしており、報告や意見、メッセージなど、140文字を目一杯書き込んだものが多い。ただし、フォロワーとのコミュニケーションやリツイートなどはほとんどしておらず、一方的な発信が中心である。
しかし、フェイスブックにもツイッターの内容をアップしており、こちらにはコメントが寄せられているようである。
調査総論
それでは、財務省トップの6名のネット発信力を総括してみよう。6名それぞれ、掛けている時間には差があるかもしれないが、ネットでの発信ということを意識している姿勢が感じられ、評価できる内容だった。
城島大臣のブログは、その時感じたことが率直な言葉でつづっていたり、政治に関する意思表示を見せたりと、好感の持てる内容。写真の活動報告など、短い記事などを交えて、さらに更新回数が増えれば、より多くの再訪者が期待できると思う。
武正氏はフェイスブックが充実している。事務的な報告なども多いが、ほぼ毎日の更新があって、リアルタイムであることは評価できる。
大久保氏のブログは、週2〜3回の更新で写真に丁寧なコメントが加えてあり、特に最近の財務関連の報告などが興味深い。しかし、サイトやツイッターなど、見た目の工夫がもう少しあると、訪問者も立ち止まりやすくなるのではないだろうか。
網屋氏のブログは、氏個人の視点による活動報告が比較的長めの文章で書かれており、興味深く読めた。このブログの更新回数は少ないものの、写真館などはこまめに活動をアップしており、ネット訪問者を十分に意識したサイトとなっている。
柚木氏は、提言などを中心とした文章中心のブログに、日々の活動をつぶやくツイッターとフェイスブックなど、それぞれを使い分け、効果的な発信を心掛けているようだ。時間もかけているだろう。さらに、上述はしなかったが、柚木には“イクメンブログ”として「ゆずパパ日記 柚木みちよしの意気地日記」も始めたようだ。
財務省という、重要にして、国民の関心の高い省にいる政治家のサイトを訪問するわけだから、少しでも、その活動実態を知りたいというのが心情だろう。
その点では、この1ヶ月に関する限り、大久保氏のブログをお勧めしたい。深く政治的な内容を報告しているということではないが、先月開催された世界銀行総会や財務大臣会議など、内部の視線が垣間見られるのは、まさに政治家のブログに訪問する価値のあるものだと思う。
(ライター 大久保ゆか)
城島光力 ホームページ
http://www.jojima.net/城島光力日記(ブログ)
http://jojima.weblogs.jp/たけまさ公一(公式サイト)
http://takemasa-k.jp/今日のたけまさ 国会だより
(たけまさ公一 オフィシャルブログ)
http://ameblo.jp/takemasa-koichi/たけまさ公一 フェイスブック
http://www.facebook.com/takemasatoday参議院議員大久保勉(公式サイト)
http://www.t-okubo.jp/参議院議員大久保勉
公式ウェブサイト(ブログ)
http://blog.goo.ne.jp/tsutomu-okubo大久保勉 ツイッター
https://twitter.com/TsutomuOkuboあみや信介ホームページ
http://www.s-amiya.jp/top.html柚木みちよしOFFICIAL WEB SITE
http://www.yuzu.jp/柚木みちよしの ゆず日記(ブログ)
http://blog.livedoor.jp/yunokimi/柚木みちよし フェイスブック
http://www.facebook.com/michiyohi.yunoki