法務省の大臣・副大臣・政務官
第3次野田内閣のネット選挙力をリサーチする連載7回目は、法務省を取り上げる。その大臣は、閣僚名簿において3番目に挙げられるポストである。しかし、ご承知の通り早くも大臣が交代し、本稿で取り上げる前に田中慶秋氏は降板、滝実氏が再登板となった。
そこで今回は再登板の法務大臣滝実(たきまこと)氏と、副大臣の山花郁夫(やまはないくお)氏、松野信夫(まつののぶお)氏のインターネットでの発信力をレポートしよう。
法務大臣 滝実氏の公式サイト
まずは滝実氏の基本情報から。滝氏は1938年生まれで、民主党・参議院奈良2区選出(5回)、昨年9月より法務副大臣を務め、今年6月より法務大臣、3週間ほど交代した先週再び法務大臣となった。
公式サイト(独自ドメインtaki-makoto.jp)には、「がんばろう日本」と手書き文字のシンプルなメッセージ。トップページはメニューと更新情報が整然とレイアウトされており、無駄がなく見やすい。
コンテンツは豊富である。まずプロフィールとして「履歴書」と「活動記録」。活動記録は、国会の質問や答弁書、地方税や経済財政についての記録など項目別に定期的にまとめられていて、ボリュームある内容だ。
次に、政治・活動として「まことによくわかる政治」「滝まことの社会見聞録」「滝まことの街角ウォッチング」「滝まこと通信」がある。
「まことに…」は、時事問題に関する滝氏の問題提起や意見などが述べられている。タイトルでうたっているように、語りかけるような文体は読みやすい。2004年から多い年には月3回ペース、07年も毎月更新され続け、最新記事で90号になっているが、昨年は1回、今年も今年は2月にアップされたのみなのが残念である。
「社会見聞録」は、視察報告だ。海外など、大きなイベントがあるごとに更新されている。また「街角ウォッチング」はコラムのような、さまざまな話題を取り上げる読み物。さらに「滝まこと通信」は国政ニュースを伝える内容となっており、どちらも月1〜2回程度の更新となっている。
さらにメールマガジンのバックナンバーも見られるようになっている。配信には国内のメールマガジンサービスの大手「まぐまぐ」を利用しているが、発行部数が36部、しかも今年の3月が最後にとまっており、発信力には乏しいだろう。
法務副大臣 山花郁夫氏の公式サイトとブログ
次は山花郁夫氏をリサーチしよう。1967年生まれで、民主党・衆議院東京22区選出(3回)、法務副大臣である。サイト(ドメインyamahanaikuo.com)は、「未来を拓く」「ともに支え合う社会を」「3つの柱と3期の実績」などのフレーズとともに写真がスライドショー形式で見られるようになっている。
サイトトップはメッセージと更新情報にメニューがある程度。メニューも「政策・実績」「活動報告」があるが、前者はこまめに更新されるようなものではないし、後者は衆議院インターネット審議中継や国会会議録検索システムにジャンプするためのバナーが貼られているのみであり、サイト自体に再訪を促すような記事はない。
一方、ブログ「活動日誌」の方は毎日のように更新しているようだ。写真に簡単なコメントをつけた、まさに日誌である。
ちなみに、ブログはウェブサービス会社大手のライブドアを利用しているが、広告非設定(有料)にしていないらしく、最新記事の下に記事内容とは無関係の広告が挿入されている。政治家の活動報告のすぐ下のため、広告の内容によっては、違和感を感じる方もいるだろう。
法務大臣政務官 松野信夫氏の公式サイト
最後は、松野信夫氏。1951年生まれで、民主党・参議院熊本選出(2回)、法務大臣政務官である。公式サイト(独自ドメインmatsuno-nobuo.jp)には、「勇気凛々」とある。
おもなコンテンツは、活動・イベント予定の「スケジュール帳」と週3〜4回更新している「活動日記」だろう。他に「私はこう考えます(今の政治争点)」として時事問題の提言があるが最後の記事が昨年4月、「松野信夫Press(Press民主)」は年2〜3回発刊している印刷物をそのままサイトで公開したものだ。
「活動日誌」は読み応えがある長文の記事が多い。視察報告や感想・意見、時事問題や現政権への批判に対するコメントなど、松野氏の考えを率直に言葉にしているようだ
調査総論
最後に3名のネット発信力を比較してみよう。ネットに対する姿勢が三者三様であったため、今回はネット力の順位つけることをしないが、3名ともネットでの発信を意識しているのは分かる内容であり、それぞれ評価できる。
滝氏のサイトはコンテンツが充実している一方、更新頻度が少ないのが残念。山花氏のブログは連日更新している点が評価できるが、一方で意見や提言のようなメッセージ性が弱いことが難点。そして松野氏のサイトは、スケジュールの告知がまめで丁寧であること、さらに活動日誌に関しては、更新頻度が多いにもかかわらず、毎回しっかりとした内容を書くことに、発信しようとする強い意志は感じられる。
個人的にも、松野氏の活動日誌は読み応えがあって興味深い記事もあった。それは全て意見に共感するということではなく、書き手、すなわち政権内部の視線が分かるということである。丁寧な上に時事性もある話題を絶えず取り上げているので、再訪を期待するに十分な内容であると思う。
(ライター 大久保ゆか)

滝まことオフィシャルサイト
http://www.taki-makoto.jp/山花郁夫オフィシャルウェブサイト
http://yamahanaikuo.com/山花郁夫の活動日誌(ブログ)
http://blog.livedoor.jp/yamahana190/松野信夫オフィシャルサイト
http://www.matsuno-nobuo.jp/