野党勢力は批判
ハンガリー国民議会は、29日夜、賛成多数により、与党案による
「有権者事前登録制度法案」を可決した。有権者は事前に、市役所または政府のインターネット・ポータル経由で選挙人名簿に登録のうえ、投票することとなる。
国会内では、与党・フィデス=ハンガリー市民同盟(Fidesz)とキリスト教民主国民党(KDNP)が3分の2を占めており、可決されることは目に見えていた。
野党勢力や国会に議席を持たない政党などからは、「Fideszを支持しない貧困層の有権者を選挙から遠ざける」と激しい批判が出ている。また、不正選挙を可能にすると非難。
ただ、法律を施行するためには、事前登録制度を憲法に明記する必要があり、11月12日に正式に改正される予定である。
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Viktor Orban/by World Economic Forum事前登録制度とは
事前登録制度計画案によると、有権者は次の議会選の2週間前までに登録する必要があり、選挙人名簿は、4年ごとに更新される。2014年の総選挙より実施され、登録は議会選のためだけではなく、地方選や欧州議会選、国民投票にも有効。
この法律に関しては、すでに数か月前から議論されていた。野党政治家の他にも多くの法律家や選挙法の専門家が、信頼に足る正当な理由がないと批判していた。有権者事前登録制度の導入は、これまでの中央登録制度の廃止につながり、複数投票が可能になるといわれている。
オルバン首相の権力固め
ヴィクトル・オルバン首相は、2010年に政権について以来、数の力を利用し、中央集権的な制度を確立してきた。今回の事前登録制度もオルバン首相の権力固めともいえよう。
政権側の選挙不正を阻止するためには、大規模な独立した選挙監視システムの構築が必要である。また、次回の総選挙でオルバン首相のフィデスに勝利するには、何よりも民主的政党による協力関係が不可欠である。

シュピーゲル誌(Spiegel Online)
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