外務省の大臣・副大臣・政務官
第3次野田内閣のネット選挙力をリサーチする連載8回目は、外務省である。大臣は閣僚の中でもメディア露出の多く、常に動向が注目されているが、今はさらに特別な状況だ。玄葉大臣はもちろん、副大臣2名、政務官3名も注目していきたい。
そこで今回は外務大臣の玄葉光一郎(げんばこういちろう)氏と、副大臣の吉良州司(きらしゅうじ)氏・榛葉賀津也(しんばかづや)氏、政務官の村越祐民(むらこしひろたみ)氏・風間直樹(かざまなおき)氏・浜田和幸(はまだかずゆき)氏のインターネットでの発信力をレポートしよう。
外務大臣 玄葉光一郎氏の公式サイト
まずは玄葉光一郎氏の基本情報から。玄葉氏は1964年生まれで、民主党・衆議院福島3区選出(6回)、昨年9月より外務大臣の任にある。
公式サイト(独自ドメインkgenba.com)には、「この国をつくり直す」「未来の希望を再生し、懐の深い日本をつくるために」とうたっている。
主なコンテンツは、メッセージや政策などの基本情報の他、「活動」があるのみのシンプルなものだ。「活動」は、地元での活動・国会議事録・マスコミ報道などのジャンルに分かれているが、最近の更新は、今年1月の国会における外交演説の掲載と、9月のラジオ出演の告知のみであり、停滞に均しい状態である。
トップページのインフォメーションはこまめに更新されている。しかし、基本的にはユーチューブにアップされている記者会見(外務省の動画)へとジャンプするのみである。
外務大臣という立場上、個人のサイトでの発言は難しいかもしれないが、現状ではサイトへの訪問者を期待できるコンテンツはないと言わざるを得ない。
外務副大臣 吉良州司氏の公式サイト
次は吉良州司氏をリサーチしよう。1958年生まれで、民主党・衆議院大分1区選出(3回)、外務副大臣である。
公式サイト(ドメインkirashuji.sakura.ne.jp)は、「新世紀日本の創造」というキャッチフレーズが大きく掲げられ、メッセージも添えられている。主なコンテンツは、「活動報告」「吉良の主張」「メッセージ」「政策論」だ。
そのうち「活動報告」は、事務所の秘書が毎週更新しているブログへとジャンプされる。吉良氏の活動や演説内容などが丁寧に書かれているが、吉良氏自身の文章ではないので、意見やメッセージ性はなく、事務的な報告という印象である。また「主張」「メッセージ」は毎年発行している広報紙の転載である。
最新の記事があるのは「メッセージ」である。吉良氏が発行しているメールマガジンのバックナンバーが掲載されているページだ。昨年は6回、今年は3回発行されており、主に時事問題に関する提言を行っている。
外務副大臣 榛葉賀津也氏の公式サイトとブログ
3人目は榛葉賀津也氏をリサーチしよう。1967年生まれで、民主党・参議院静岡選出(2回)、外務副大臣である。
サイト(独自ドメインk-shimba.com)は、メニューとニュース、更新情報が掲載しているのみの事務的なつくりだ。
サイト内は榛葉氏の基本情報や「理念・政策」があるのみで、定期的に更新されるようなコンテンツは用意されていない。メニューにある「活動報告」は、gooのブログへとジャンプされる。こちら週2〜3回程度更新されているので、こちらに直接訪問する人も多いだろう。
ブログは「デイリーコラム」と題しており、活動を、写真と簡単なコメントで構成している。
外務大臣政務官 村越祐民氏の公式サイト
4人目は、村越祐民氏。1951年生まれで、民主党・参議院熊本選出(2回)、法務大臣政務官である。公式サイト(独自ドメインhirotami.jp)には、「打破」と力強い文字。
コンテンツの中心はブログだ。トップページには更新情報と告知がアップされているが、他は基本情報程度である。
ブログは月1〜2回程度更新されている。しかし、最近の記事のうちの半分はタウンミーティングの告知だ。他に「政治放談」というカテゴリーで時事問題に関する提言の記事もある。
日々の活動報告はツイッターがメインだ。ほぼ毎日ツイートしており、他にリツイートやフォロワーとのコミュニケーションなど、ツイッターを活用している。フォロワーは5000人程度で、政治家としては多いとは言えないが、村越氏自身がフォローしている人数も少ないので、拡散力は弱いだろう。
外務大臣政務官 風間直樹氏の公式サイト
5人目は、風間直樹氏。1966年生まれで、民主党・参議院比例選出(1回)、外務大臣政務官である。公式サイト(独自ドメインkazamanaoki.com)はメニューと更新情報のみで、シンプルなデザインである。
主なコンテンツは「ブログ」と「活動報告」、いずれもサイト内にページが用意されており、他会社のウェブサービスなどにジャンプすることはない。
「ブログ」は時事問題に対する考えや意見をまとめたもの。中には長文のものも多く、率直な言葉で書かれている。しかし残念ながら今年8月以来更新が止まっている。再開を期待したい。
「活動報告」の方は、写真にコメントをつけた日誌形式であるが、1記事あたり比較的写真点数が多いようだ。しかし、記事テーマや月別などのカテゴリーが用意されていないので、バックナンバーは1ページずつ見ていくしかない。
法務大臣政務官 浜田和幸氏の公式サイト
最後は、浜田和幸氏。1953年生まれで、国民新党・参議院鳥取選出(1回)、外務大臣政務官である。
公式サイト(独自ドメインhamadakazuyuki.com)は、シックな赤を基調に、デザインされたアイコンが付けられたサイドメニュー、ポートレート、新着情報と整然としており、スタイリッシュな印象だ。
コンテンツは、基本情報の他、アメブロへとジャンプされる「ブログ」、「出版物の案内」、「永田町便り」「主張・論文」「ギャラリー」「動画」と豊富である。また、トップページにも新着情報があるが別のページも用意しており、各コンテンツの最新記事の内容もしっかりと紹介されていて分かりやすい。
ただし、豊富なコンテンツであるが、「永田町便り」や「主張・論文」「ギャラリー」は、浜田氏が発行している印刷物や、他メディアに掲載された記事の転載であり、サイト独自の記事ではない。
一方、「動画」はインターネットならではのコンテンツであり、必見だろう。「今週のトピック」として、浜田氏自身が事務所などでその週のテーマを決めて語っている。また番外編もあり、大手メディアでは数秒にしかならないような国会控え室の様子などもアップされていて興味深い。
「ブログ」は、大手ブログサービスのアメブロを利用している。サイトのタイトルには「政治と経済に創造力を」とあり、週2〜3回更新されているようだ。
内容は、参加した会やイベントや人との交流などの様子を感想や意見を交えて紹介している。語り口調の文体は読みやすく、写真も添えられていて、肩肘を張らずに楽しめるだろう。
調査総論
最後に6名のネット発信力を比較してみよう。外務省という多忙で発言にも特に気を遣うポジションのためか、立派なサイトやブログがあるにもかかわらず、更新は滞りがちの様子が見え、残念である。
その中で、浜田氏のサイトやブログは、頭一つ飛び抜けて充実していると評価できるだろう。毎週の動画、そしてブログの内容など、ネットという場を積極的に活用して人々に発信しようとする熱意が感じられる内容だ。また著作が多いだけあって、文章も読みやすい。
榛葉氏も毎日ブログで活動報告をアップしているし、村越氏もツイッターを多用している点は好感が持てた。しかし、もう少し言葉に考えやメッセージが見えると、読んでいても興味が増すだろう。
玄葉・吉良・風間の3氏に関しては、本人の言葉による更新が滞っている現状では、なかなか評価しづらい。ネットでの発信力を意識するのなら、もう少しこまめに再訪させるようなコンテンツや更新頻度が欲しいところだろう。
一有権者としては、ネットにおいても、語らない人よりは語ろうとする人に対して好感を持ってしまうのは当然のことだろう。ないのなら仕方がないが、サイトを運営する以上、ぜひ発信力を強めて欲しいと思う。
(ライター 大久保ゆか)

玄葉光一郎 オフィシャルウェブサイト
http://www.kgenba.com/吉良州司(公式サイト)
http://kirashuji.sakura.ne.jp/しんば賀津也(公式サイト)
http://www.k-shimba.com/しんば賀津也 デイリーコラム(ブログ)
http://blog.goo.ne.jp/kshimba村越ひろたみ オフィシャルサイト
http://www.hirotami.jp/村越ひろたみ(ブログ)
http://blog.hirotami.jp/村越祐民 ツイッター
https://twitter.com/hirotami_m風間直樹 オフィシャルホームページ
http://www.kazamanaoki.com/浜田和幸ホームページ
http://www.hamadakazuyuki.com/浜田和幸オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/hamada-kazuyuki/