衆議院南関東ブロック比例区3名
新人衆議院議員のネット選挙力と発信をリサーチする連載13回目は、前回に引き続き、南関東ブロック比例区の3回目。永田町では解散の嵐が吹き荒れているが、新人議員たちはどのようにこの嵐を乗り切ろうとするのか、ますます目が離せない。
当選時は全員民主党、現在はそれぞれ別の道に進んでいる1970年以降の生まれの、まさに“若手”政治家達を取り上げよう。
新党きづなの中後淳(ちゅうごあつし;1970年生)氏、民主党の三村和也(みむらかずや;1975年生)氏、改革無所属の会の横粂勝仁(よこくめかつひと;1981年生)氏のインターネットにおける発信とその活用度をレポートする。
新党きづな 中後淳氏の公式サイト
まずは、中後淳氏の公式サイト(独自ドメインchugo.jp)を見てみよう。中後氏は大学では理工系を学んだエンジニアで、2000年に政治家に転身、千葉県の富津市議を2期務めた。市議時代は保守系(自民党系)無所属、国政初挑戦で民主党から立候補、昨年12月に離党して、現在は新党きづなの幹事長代理を務めている。
サイトのトップページは、「和の国 日本再興」とある。白バックに朱赤の文字でレイアウトされたデザインは、すっきりとして熱意を感じて好感が持てるものだ。更新情報やツイッターのウィジット(最新ツィートを掲示するパーツ)の他、挨拶文を掲載している。
コンテンツは、プロフィールなどの基本情報の他、「理念・政策」、「活動報告」、さらにサイト内にオフィシャルブログも用意されている。その中で「活動報告」と「ブログ」の違いは明確ではないが、「活動報告」は写真を多く添付した活動内容の紹介で、「ブログ」の方は、時事問題などを中心とした提言などをつづっているものが多い。
いずれにしても、どちらも更新が多いとは言えない。「活動報告」は月1〜3回程度、「ブログ」は月1回ペースだが、最新記事は9月7日である。
中後氏の日々の動きはツイッターやフェイスブックに見ることができるが、こちらは後述しよう。
民主党 三村和也の公式サイトとブログ
次に、三村和也氏の公式サイト(独自ドメインmimurakazuya.net)を訪問する。経済産業省を2008年に退職し、民主党から立候補、初当選を果たした。蛇足だが、女優の広末涼子の従兄弟として、話題に出ることもある人物。
サイトのヘッダーには「この国の未来のために 37才 全力」、さらにトップページは「行動力×政策力」、「次の日本を創ります」と、キャッチコピーが多い。
サイトはブログ形式のつくり。トップページには「ミムラのブログ」の最新記事15件を掲載、ほぼ毎日更新がされている。またブログサービス大手のアメーバを利用したオフィシャルブログ「We can make Strong Japan」もあるが、サイト内のブログの一部を転載しているようだ。
サイトには他に、収支を定期的に公開する「すべて公開!ミムラの貯金通帳」、広報紙をアップした「情報発信!ミムラのココ変!」などのコンテンツもあり、工夫されている。
さらに、メールマガジンもあるようだが、こちらはバックナンバーの閲覧がないため、配信頻度や内容などは確認できなかった。また、ツイッターに関しては後述する。
改革無所属の会 横粂勝仁氏の公式サイトとブログ
3人目は横粂勝仁氏の公式サイト(独自ドメインyokokume.jp)を見てみよう。大学卒業後に出演した恋愛バラエティ番組で有名となった人物で、その際のニックネームは「総理」。昨年夏の内閣総理大臣指名選挙で自分自身に票を投じたことでも話題となった。現在は民主党を離党し、改革無所属の会を結成している。
サイトは極めてシンプル。プロフィールなどの基本情報の他は、さまざまなウェブサービスを利用しているコンテンツの更新情報を掲載している目次としての役割を果たしている。
したがって情報入手としてのメインは、アメーバを利用したブログやツイッター、フェイスブック、ミクシーなどとなるだろう。
ブログは、告知が多く、更新も先月は3回しかない。しかし15日に更新された最新記事は「遂に解散総選挙です!」とのタイトルで、決意を語っている。他にも過去記事をたどれば、時々にメッセージや提言などの記事もあるようだ。
ツイッターとフェイスブック
今回の3名は全て、ツイッターのアカウントを持っており、積極的に活用している。フォロワー数は、中後氏が約2500人、三村氏が約3000人、横粂氏が約11600人。1万人を超える横粂氏はもちろん、他の二人もツイッターの利点である拡散力が期待できる数字である。
ツイート数に関しては、中後氏はほぼ毎日。フォロワーとのコミュニケーションも積極的に行っており、日々の活動がリアルタイムで確認でき、評価できる。
三村氏は週2〜3回ながら、ミニブログのような活動報告も多く、考えられた文章をアップしている。一方横粂氏は、この二ヶ月ほどはツイートがかなり不定期であり、告知なども多いが、立て続けにツイートをして決意などを書いている時もあった。
さらに中後氏と横粂氏はフェイスブックも行っているので、そちらもチェックしてみよう。
中後氏はツイッターもそうだが、フェイスブックに関してもほぼ毎日、写真付きで簡単な活動報告をしている。中にはサイト内の「活動報告」と重複していることもあるが、更新頻度が高く、また多くの人がコメントを寄せており、ネットというツールをよく生かした充実した内容だ。
それに対して、横粂氏のフェイスブックは、月2〜3回と更新は少なめだが、こちらも活動報告や告知などの記事に対して、多くの人がコメントを寄せているようだ。
調査総論
最後にネット選挙力として3氏を総括してみよう。あえて順位をつけるなら、中後氏を一番とする。サイト内のブログや活動報告、ツイッター、フェイスブックとコンテンツを充実させ、更新も多い。全体に丁寧に活動を紹介していたりと、ネットでの発信に対する誠実さを感じる。
次は三村氏。サイト内の「ミムラのブログ」は写真中心の活動報告で、ほぼ毎日更新されている。記事内容も、多くの人が陥りがちなルーチンワークではない点も評価する。またツイッターの内容も回数が少ないながら、率直な言葉で発信している印象だ。
3番目は残念ながら横粂氏。上記の二人に比べて更新が少ないためと、ブログやツイッターなどに少々告知が目立ち過ぎるのが、読む気を削がせる。しかし、ツイッターやフェイスブックへの訪問者は圧倒的に多いようで、改めて横粂氏の世間での認知度の高さに驚かされた。
さて、衆議院選挙の公示まで2週間ちょっとだ。サイトの更新にも力が入るだろうか。
(ライター 大久保ゆか)

ちゅうご あつし(公式サイト)
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