日本は賛成、米・イスラエルは反対、独・英は棄権
国連総会(193か国)は29日、パレスチナの国連での地位を「オブザーバー国家」に格上げする決議案を賛成138、反対9、棄権41の賛成多数で採択した。これにより、パレスチナは国連での投票権はないものの、「国家」として議論に参加できるようになった。ヴェルト紙オンライン版が30日、報じた。
投票後の歓喜に包まれる中、米国とイスラエルは
「中東和平プロセスへの新たな障害につながる」
と警告。
ドイツと英国はフランスやイタリア、スペイン、スウェーデンなどの他の欧州諸国とは対照的に棄権した。日本は「イスラエルとパレスチナの平和的な共存を求めてきた経緯から、今後の日本のポジションを総合的に考え」賛成票を投じた。
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by Valerio Pirrera歴史的な日
パレスチナ自治政府のアッバス議長は、この日を
「歴史的な日」だとし、
「パレスチナの独立に向けた重要な第一歩を踏み出した。」
と語った。
アッバス議長は11月29日というパレスチナ人にとって忘れられない日を選んだ。1947年11月29日に国連総会は、英国によるパレスチナの委任統治終了期限を設定し、パレスチナをアラブ人国家・ユダヤ人国家・エルサレム国際管理地区に分割する決議案181を採択したのだった。
国連機関や国際条約への加盟が可能に
現在の「オブザーバー組織」から「オブザーバー国家」に格上げされた意義は、パレスチナ自治政府が国際刑事裁判所(ICC)や国際原子力機関(IAEA)などのいくつかの国連機関や国際条約に加盟できることである。
さらに、国際司法裁判所(ICJ)にも加盟でき、イスラエルを訴えることが可能になった。
クリントン米国務長官は投票結果について「不幸で逆効果」であると述べた。イスラエルのネタニヤフ首相は、
「演説は全くのうそとプロパガンダだ」
とアッバス議長を非難、
「国連の決議で何も変わらない」
と語った。

ヴェルト紙(Welt Online)
http://www.welt.de/politik/ausland/