新経済連盟がシンポジウム主催
2月5日、インターネットを使った選挙運動の解禁についての一般社団法人新経済連盟(新経連)主催のシンポジウムが国会内で開かれ、参加した自民党、民主党、日本維新の会、公明党、みんなの党、生活の党、共産党、みどりの風、国民新党、新党改革の10党がネット選挙解禁に賛成する意見を示した。
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「新経済連盟」の代表理事を務める「楽天」の三木谷社長は冒頭で、インターネットを選挙運動に活用することについて、世界に比べて「日本は周回遅れ」と語り、なぜネット選挙を解禁するのかということについて「従来の街頭演説を中心とした選挙運動からより正確に深く政治の議論をタイムリーにするべき」、「日本は非常に投票率が下がっている、取り分け若年層の投票率が下がっているということもあり、いかに国民に政治的関心を高めてもらうかということがこの国の競争力を上げていくことに不可欠」と語った。
10党が推進派だがサイバー攻撃などへの課題も
各党の意見表明では10党全てがネット選挙推進派で、現状の選挙運動の問題点や導入の課題を次のように語った。
自民党 平井たくや「豊かなコミュニケーションツールをどのように民主主義に使っていくかが大事」
民主党 鈴木寛「SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を対象にしていく」「誹謗中傷、なりすまし対策をしっかりと」「次期参院選に各党でまとめられることを最優先」
日本維新の会 丸山穂高「参院選が一つの試金石」「我が党としても全力でスピーディーな対応をさせていただきたい」
公明党 遠山清彦「党独自の案はまとめていない代わりに各党の案を細かく研究している」「表現の自由と人権の侵害の部分をどう考えるか議論が必要」
みんなの党 松田公太「都議選から解禁すべき」
生活の党 玉城デニー「政策を個々人が訴え、それを党全体が政策を国民に対して広くアピールをして政策選挙が行われるということにつながるのであれば、これはもう言うまでもなく日本の政治風土の改革にもつながると私たちは捉えている」
共産党 井上哲士「本来選挙の時こそ各党候補者が政策を国民の前に明らかにして大いに対話をするのが当然」「候補者の名前の入ったビラが厳しく制限されており、誰の政策か分からない」
みどりの風 舟山やすえ「政見放送をネットでも見られるように進めるべき」「選挙管理委員会のホームページから個人のホームページに飛ばせることを条文に加えるべき」「集中アクセスによる意図的なサイバーダウンに対する対応が必要」
国民新党 野間たけし「都議選で使えるように」「投票所に行って日曜日に投票するということ自体も今後はネット上でしていかないと投票率を上げることにならない」
新党改革 荒井広幸「政治文化、選挙文化を変えるいいきっかけ」「ネット市民だけではない、投票権を持たない方々、ネットを使えない方々とのコミュニケーションをどう考えるか」「選挙区外の候補者に関心を持ってもらえるんじゃないか」「投票率が下がっている一番の理由は選挙区に書きたい人がいないこと」
表現の自由と虚偽表示対策では議論の余地
自由討論では、自民党の平井は「既存の法律にプラスして電子メールアドレス等の表示義務、氏名等の虚偽表示罪、プロバイダ制限責任法の特例、適正な利用についての努力義務の改正案を考えている」となりすましや誹謗中傷への対策を語った。
民主党の鈴木は「表現の自由と虚偽の記載をどうバランスをとるか」ということを挙げ、「Aという法益とBという法益を皆様のいろいろなご意見を聞いてわれわれがどこかで決めるという決断の時期に来ている、その際に大きくいうと二つのことを同時並行でやっていく必要があり」、一つは、「情報削除依頼があったときにIPS(Intrusion Prevention System:侵入防止システム)によってその運用が同じ事案であっても相当ばらつきがある」ことを指摘し、「表現の自由の問題もあり法律で決めるよりも、民間ベースでガイドラインを作ることが虚偽表示の減少につながる」とし、もう一つは、「選挙管理委員会が非常に安全なサイバー空間を整備して、総務省だけではなく、その道のプロの方にも色んな提案をして頂くと、問題発生の確率が下がる」と語った。

新経済連盟 ネット選挙に関するシンポジウムの概要
http://jane.or.jp/topics/topics38.html