渋滞を「実感」する住民の意見を活用
福井県渋滞対策協議会は、2013年1月23日、「地域の主要渋滞箇所」を選定したことを公表しています。
今回公開されたデータは、同協議会が、2012年6月から12月の期間に、道路利用者と協議会の双方の意見をふまえて検討した結果、地域全体として“実感”している渋滞箇所を選定したものです。
その手順を整理しますと、まず、協議会では、「ITS」技術を有効活用して、道路利用者の移動情報(プローブデータ)を収集・分析し、速度の低下などによる渋滞箇所を抽出しました。
次に、道路利用者の意見として、「パブリックコメント」の活用により、一般市民や関係自治体、物流会社や観光施設のような関係事業者から、意見を募りました。
そうした情報を収集・整理したうえで、交差点が連担するなど、通行車両の速度低下する場所が連続している場所を「区間」として集約しながら、渋滞箇所として65箇所(9区間を含む)を選定したというわけです。
ちなみに、「パブリックコメント」とは、行政側が、政策や制度を決定する際に、一定の範囲(都道府県や市町村など)の住民の意見を聞いて、それを考慮しながら最終決定を行うしくみのなかの「住民の意見」を指します。また、その目的には、「行政の意思決定過程の公正を確保し、透明性の向上を図る」点や、「国民・事業者など(外国も含む)の多様な意見・情報を把握する」点などが挙げられます。
一般的には、この一連の手続きは、「賛否」を示すようなものではありません。同じ意見が多くても、行政の意思決定における考慮要素になるとは限らないですし、逆に、少数意見が、考慮要素にならないとは限らないのです。
ただ、今回の場合は、渋滞箇所の特定が目的であることから、多数の同じ意見が目的達成に役立ったともいえ、既存制度の活用という観点からみれば、柔軟に対応して、一定の成果を上げたことになるといえるでしょう。
近畿圏の高速道路でも1月下旬に実施
ちなみに、同協議会は、社団法人福井県商工会議所連合会、社団法人福井県トラック協会、社団法人福井県観光連盟、国土交通省近畿地方整備局、中部運輸局、福井県、福井県警察本部、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社により、構成されており、福井県域を含めた近畿7府県の高速道路の渋滞箇所については、2013年1月22日から1月28日の期間で、パブリックコメント(意見聴取)が募集されています。
今回の件を含めて、数値だけでは見えてこない「実感」のやり取りを、インターネットを活用して行政と住民との間で行う取り組みは、その応用範囲の広さも含め、全国規模で行う価値がありそうです。

福井県渋滞対策協議会 プレスリリース
http://www.kkr.mlit.go.jp/fukui/press/