議会事務局と選挙管理委員会を比較する
毎週恒例の自治体の議会事務局や選挙管理委員会の情報公開を調査する「自治体別、「選挙」と「議会」の情報公開診断」シリーズの第7弾。
今回の記事では、昨年の10月から12月の間に市議会選挙が行われたむつ市(青森県)、朝霞市(埼玉県)、ひたちなか市(茨城県)の議会事務局と選挙管理委員会の取り組みを客観的に評価するためにチェックリストを用い得点をつけて比較する。
有権者にとって候補者に投票する上で必要な情報を議会事務局と選挙管理委員会は、どの程度公開しているのかを
「情報に対するアクセスの容易さ」「議会の活動」「選挙の告知」「結果広報」「お金周り」などの項目を利用し計50点満点で評価した。
比較の結果は以下の通り
1位 むつ市(約6.3万人)【青森県】25点
2位 ひたちなか市(約16万人)【茨城県】24点
3位 朝霞市(約13万人)【埼玉県】18点
詳細データはこちら各議員のプロフィール公開が充実しているむつ市が1位
昨年の10月2日にむつ市議会選挙が行われたむつ市(青森県)が、25点を獲得し1位となった。議会事務局において
「各議員のプロフィール」を唯一
「基本情報(顔写真/名前/所属会派/所属委員会) 当選回数/期数」という形で詳細に公開している。また、各議員の
「住所と電話番号」を公開している点も高く評価可能。
選挙管理委員会について
「確定投票数」を公開している点は、有権者への選挙関連の情報提供において優れている。しかし、
「今後の選挙日程」が公開されていないため、有権者は
「今後、どのような選挙が行われるか」を把握することが不可。また、
「過去の選挙との比較」も公開されていないことで、
「前回の選挙結果」を容易に把握することができない。この点は、早急に改善する必要がある。
議長経費を唯一公開しているひたちなか市が2位
昨年の10月23日にひたちなか市議会選挙が行われたひたちなか市(茨城県)が24点を獲得し2位となった。議会事務局について
「議長経費」を唯一公開していることは、
「議長が、いつ、何に、お金を使ったのか」を把握できるため、高い評価ができる。
しかし、選挙管理委員会についてグーグルで
「自治体名+選挙管理委員会」を検索した際に、
「3位以下」に検索結果が表示される。有権者のためにも、SEO対策などを含めて早急に改善する必要がある。また、
「議員のプロフィール」が
「顔写真」のみ掲載されており、有権者にとって
「議員名簿」から得られる情報があまりにも少ない。
議会のスケジュールを公開していない朝霞市が3位
昨年の12月4日に朝霞市議会選挙が行われた朝霞市(埼玉県)が18点を獲得した3位となった。しかし、議会事務局において
「議会のスケジュール」を唯一公開していないため、有権者は
「次に、どんな選挙がおこなわれるのか」を把握することができない。この点は、早急に改善する必要がある。
また、選挙管理委員会において「
RSS」や
「メルマガ」などの
「受け身で情報を受け取れる手段」が公開されていないため、有権者は気軽に選挙関連の情報を入手することが不可。今後、積極的な情報配信が一層求められる。
累積の順位、累積のデータ(上位10位まで、過去7回の調査)
1位
大阪市(約270万人)【大阪府】 38点
1位
埼玉県(約720万人)【埼玉県】 38点
3位
仙台市(約100万人)【宮城県】 36点
4位
高知県(約77万人)【高知県】 34点
5位
米沢市(約7万人)【山形県】 33点
5位
豊川市(約18万人)【愛知県】 33点
5位
所沢市(約34万人)【埼玉県】 33点
5位
亀岡市(約9万人)【京都府】 33点
5位
大牟田市(約12.5万人)【福岡県】33点
6位
海老名市(約13万人)【神奈川県】 33点
調査を終えて一言
今回は、昨年の10月から12月に市議会選挙が行われた地方自治体の議会事務局と選挙管理委員会を調査した。特に、
「各議員のプロフィール」を詳細に公開しているむつ市と
「議長経費」を唯一公開しているひたちなか市は、非常に高い評価ができる。
しかし、3つの地方自治体において
「今後の選挙日程」と
「過去の選挙との比較」が全く公開されていない。
これでは、選挙管理委員会による有権者への情報提供という役割が機能していないと謂わざるを得ない。早急に改善する必要があると感じた。
さらに、ひたちなか市について
「議員のプロフィール」が
「顔写真」のみ掲載されており、顔写真以外に
「各議員がどのような人物なのか」を知るすべがない。有権者が投票する際に参考可能な情報を示すために、せめて
「基本情報(名前/所属会派/所属委員会/顔写真)」は公開するべきである。
原田康平編集長の一言
ここまで30近くの自治体をチェックしてきましたが、4月辺りを目処に大幅なリニューアルを検討しております。ご期待下さいませ。
槙野秀俊調査の基準について
この取り組みは、株式会社リファイドが,昨年の10月から12月の期間で行われた首長選挙や議員選挙を対象に、各地方自治体の議会事務局と選挙管理委員会を調査したものです。この調査の意図は,有権者が選挙で投票する際に必要な情報を各地方自治体がウェブサイトを通じて適切に公開しているかを評価するためのものです。また,この調査の方針は,各項目を客観的に評価するためにチェックリストを作成し、それを基準に株式会社リファイドが得点をつけています。さらに、ある用語を「Google」で検索した場合に「3ページ以内」にその検索結果が出ない場合は、その用語を「検索不可」とみなすこととします。これらについて不明点や疑問があれば、株式会社リファイドにお問い合わせください。

むつ市議会
http://www.city.mutsu.lg.jp/index.cfm/13,0,16,htmlむつ市選挙管理委員会事務局
http://www.city.mutsu.lg.jp/index.cfm/14,0,17,html朝霞市議会
http://www.city.asaka.saitama.jp/shigikai/朝霞市選挙管理委員会
http://www.city.asaka.saitama.jp/senkyo/index.htmlひたちなか市議会事務局
http://www.city.hitachinaka.ibaraki.jp/site/shigikai/ひたちなか市選挙管理委員会事務局
http://www.city.hitachinaka.lg.jp/soshiki/5/senkyo-nituite.html